P.85

「それでは次の方お願いします」




集団面接。



何度やっても緊張はする。


でも、口から出る言葉はもうスラスラ言える。


練習なんてしなくても大丈夫なくらい。


それくらい何回も何回も言ってきた。


もう完璧でしょう?


なのに、なんでそんな顔するの。




「今話題になっているいじめについて、どう考えますか?では、そちらから。」



なんでイジメ?会社関係ないし。もしかして…



「えっと…」



面接官の視線が私に突き刺さる。嫌な汗が浮かぶ。




どうしよう。


みんな知っている気がしてしまう。



面接官は私の過去をみんな知ってるんじゃないか。


だから、受からないんじゃない?



違うのに。私じゃないのに。





面接はグダグダだった。



途中まではよかったはず。


あのイジメの話から何を言ったのか覚えてない。


むしろ何も言ってないんじゃないかな?何話した?



多分ここもダメだ。


また一からやり直し。また一から…。



永遠のループ。


きっと私はこのループから抜け出せない。



なんで?私の何が悪いの?





違う。私のせいじゃない。


あの手紙のせいだ。


変な手紙の。




私は関係ないのに、なんなの?誰なの?ほんと、もう勘弁して。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る