きっかけはなんだったかわからない。

日常化されるイジメの中で変化があったわけじゃない。

きっかけは些細なこと。

たとえば、気に入っていたものが壊されたとか、なくなったとか。

本人しかわからない些細な変化が、張り詰めていた糸を切った。

側（はた）から見ればなんでそんなことぐらいで？と思われることがきっかけになることもある。

それは、今まで積み上げて来たものがあるから。

何か一つ欠けただけで、何か一つ無くしただけで、積み上げられた積み木がバラバラと崩れていく。

そんなギリギリの精神状態。

いつその張り詰めた糸が切れるかは、誰にもわからない。

そして、事件は起こった——

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