第49話

何であなたが謝るんだ。



どうしてあなたが謝る必要がある?



おかしいだろ…。




普通は、俺を怒鳴る場面じゃないのか…。



どうして、彼はこんなにも俺に優しくしてくれるんだ。



こんな初対面の俺に…。





『そんな言葉聞きたくねえ!!そんな事言ったって、俺の母さんはもう俺だけのモンじゃねぇんだ!!!消えろ!!マジでお願いだから、俺の前から消えてくれ!!!』





言った後に、とても後悔した。



後悔して、咄嗟に顔を上げた。




夜だったにも関わらず、月夜が明るく照らされて、彼の顔がよく見えた。



彼はいつもの無表情な顔ではなく、何故か……








とても泣きそうな顔をしていた。



俺は後悔した。



折角出来た初めての兄弟を、俺は初めて会ったその日に、壊してしまったのだ。



挙句に、消えろなんてことを言ってしまった。




あの優しい薺さんが、その言葉を聞いて傷つかないワケがない。



きっとその言葉を鵜呑みにするだろう。

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