プロローグ

第1話

「まいごなの?だいじょーぶ!わたしがいっしょにさがしてあげる!おなまえは?」



「ほんと?ぼく───!」



いつか、父のように困っている人を助けられる人になりたかった。



今にも泣いてしまいそうに眉を八の字に曲げて、彷徨う男の子の手を引っ張った。

安心してほしくて、にっこりと笑うと男の子も潤んだ目を細めて小さく笑ってくれた。



「あのひとたち、きみのことさがしてるよ。かぞく?」



「ぼくのおとうさん!ありがとう!!」



「よかった!わたしはもういくね。つぎははぐれちゃダメだよ!」



「ま、まって!きみのなまえ……」



離したはずの手が服を引っ張り、今度はこっちが困る番になった。



「いいのいいの。はやくいきな。」



「あの!じゃあこれ……これもってて!ぜったいおれいしにいく!めじるし!とくべつなものなんや、見たらぜったいわかる!」



「う、うん。わかった……。」



「ありがとう!!きみのことわすれへんから!」



男の子はそう言って家族の元へと帰っていった。

残された私の手には、彼が特別だと渡してきた綺麗な色の魚のキーホルダー。



名前も顔も忘れてしまった男の子。



チリンッ、となったそれだけが今も私に彼のことを忘れさせずにいる。

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