第324話

スルッ…シュッ────



今日はいつもとは違う1日を迎える。



新しい想いを抱きながら、俺はネクタイを締める。



時々、手を止めては、桐生君のことを想って胸が締め付けられる。



でも、これでいいんだ。



桐生君にはこれがいいんだ。





桐生君には、こんな薄汚い学校は似合わない。



もっと普通の学校に行って、普通に過ごして欲しい。



ましてや、あんな人に傷ついて欲しくなんてないから、何も知らずにここを出て行って欲しい。




時には、何も知らない方が幸せなこともあるから。






俺はそう思いつつ、鞄に入れてあった教科書などを整理し始めると……





トントン…────



部屋のドアをノックする音が聞こえて来た。



多分、御手洗だろう。

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