第18話

「つーか、さっきまで俺に泣きついてたヤツのテンションとは思えねぇんだけど。」



カラスさんはそう言って、溜息をついた。



そう言われて、私も自然と右拳の方に視線を向けた。



そうだった…。



いや、忘れてたわけじゃなくて…思い出したくなかっただけ。



だって…嫌な事は誰でも、考えたくはないものだもん。




ズキンッ…-------




ああ、さっき風間君を殴ってしまった拳が凄く疼く。



いた…い…。



そう思いつつ、私は自分の左手で右手を包み込み握りしめた。





折角、カラスさんの所まできたけど……初対面に近い人に言える内容じゃないし…。



私はそう落ち込みつつ、目線を下に向けた。




「ごめん…なさい。こうでもしてないと…落ち込んじゃって…さ。」



「……。」



カラスさんは私がそう言うと、ただ黙ってじっと私を見つめて来た。



その視線にくすぐったさを感じながらも、暗い気持ちにならないように無理矢理明るさを振るまおうとした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る