第72話

「……だい、き?」



部屋の窓が無造作に開いていて、下を覗くとここから出て行った形跡が残っている。



……なん、で?




「だい、き?」



どうして大稀がここから?



答えなんてすぐ見つかるはずなのに、俺は知らない振りをした。



違う、俺の所為じゃない!!



自分を正当化させたくて、大稀が失踪したことに自分を否定した。






「大稀いいいいいいい!!」



―――…だけど、それ以上に大稀がいなくなったことに関しての心痛の方が大きかった。



心臓が、痛い。



あの時と同じくらい。





紗綾が俺らの前から連れ去られた時と同じくらい、心臓が張り裂けそうだ。



大稀、大稀、大稀…っ!!

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