第61話
そしてその場に駆けつけた時には、既に何もかもが遅かった。
―――…彼の前で座り込んでいた、大稀。
真っ赤な手を振わせている、大稀。
そして彼の目の前で倒れこんでいる、土坂という男。
彼の腹部には―――…ナイフが突き刺さっているのがここからも見えた。
俺は、口元を抑える。
どういう、ことだ?
「……ツチサカ?」
「……………」
俺は大稀にゆっくりと近づいていくとともに、土坂の顔が見えてくる。
―――…お前、刺されてるくせに何って顔してるんだよ。
何で、笑ってるんだよ?
「ツチサカああああああああ!!」
大稀の悲痛の声が、この場に響き渡る。
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