これからが本番

第2話

時計のない部屋。



薄暗い部屋に電気をつけたのはランカさんで、鬱陶しそうに髪を触る。




「チッ、胸糞ワリィ。」



ランカさんはそう言って、黒いコートを乱雑に脱ぎ捨ててソファにかける。



腰を下ろした彼はまずネクタイを緩めて、ポケットから煙草を取り出して火を点ける。





「……あの、これ以上匂いを充満させないでくれますか?」



助けてきてくれた人にかけた言葉がそれかと薄情に思うかもしれないが、流石にもう我慢できない。



―――…何せ、ここは煙草の匂いが酷いのだ。





「あん?ちょっとくれえ、我慢しやがれ。」



「我慢できないから言ってるんでしょう?」



「じゃあ、鼻で息すんな。」



―――…この男、どうしてこうも自分勝手なのだろう。

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