第74話

「お父様、紅茶にミルクは入れるわよね?」


「ああ、入れてくれ」


「分かったわ」

 

 お父様は紅茶に、いつもミルクを入れるのが定番だ。砂糖は入れずにミルクだけというのが、お父様の飲み方。


「うん、美味いぞカルティナ!」


「本当に?良かった」


 お父様はあまり甘い物は食べないけど、チーズケーキが大好きなお父様は、食べてくれる。


「甘さもちょうどいいな。美味いぞ」


「良かった」


「このクッキー生地もいいな」


 お父様は相当美味しいのか、あっという間に完食してしまったようだ。


「ごちそうさま。 美味かったよ」


 お父様はフォークをお皿に乗せると、今度は紅茶を口にした。


「うん、これは美味い紅茶だな」


「そうでしょ?チーズケーキに合うような、ブレンドティーだそうよ」


 お父様は満足そうな顔をし、再び資料に目を通していた。


「お父様、まだ仕事するの?」


「ああ。もう少しだけな」


「無理をしたらダメよ。ほどほどにね」


「分かっているよ」


 お父様の食べ終えたお皿を片付けたわたしは、そのままお風呂に入りながら、今日のことを思い出していた。

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