第11話
安心しろ、と言われても。やっぱり音が気になってしまう。それでも佳加がいるといないじゃ安心感が全然違って。深夜、佳加に腕枕される中、「明日の夕方警察に行こ」という言葉に頷いた。
次の日の夕方、佳加がバイト先まで迎えに来てくれることになった。佳加が迎えに来てくれるのは16時。私のバイトが終わるのも16時。喫茶店でバイトをしている私は、閉店時間近くになりゴミ集めをしていた。
「花音ちゃん、それ終わったら上がってくれていいよ」
50台の白い髭が似合うマスターに言われ、私は「でも、まだ片付けが……」と断ろうとしたが、店長は眉を下げて顔を横にふった。
「いいんだよ。もうすぐ雨が降るみたいだし、早く帰った方がいい」
雨?
天気予報を見ていなかった私は、マスターから窓の外に視線をうつした。確かに雲が多い気がするけど、雨が降る様子はない。
でもマスターは嘘をつかない。きっと雨が降るのだろう。
「ではお言葉に甘えて……。ごみ捨て終わってからお先に失礼します」
マスターは笑うと、「勝手口の傘、持っていきなね」とカウンターの中へ入って行った。
ごみ捨てが終わり、着替え、勝手口に向かえばマスターの言っていた通りにビニール傘が置かれてあった。マスター、本当に優しいなと顔を綻ばせながらビニール傘を手に取った。
雨はまだ降っていなかった。
勝手口の扉を開けたまま左右を確認するけど、誰もいなく、その事にホッと胸をなでおろした。
ストーカーはいないらしい……。
スマホの時間を見ればまだ佳加との待ち合わせに20分ほどあって。
誰もいないみたいだし、ここで待ってようか。そう思いながら勝手口を閉めた。
でも……、もしかしたら佳加も傘を持っていないかもしれない。ここからコンビニへは五分ほど。念の為佳加の分の傘を買いに行こう……。
そんなことを考えながら私は路地裏にある勝手口から、通りへ出る方へと足を進めた。
歩きながらスマホを鞄の中にしまおうとした時、スマホが振動し、佳加かな?と思いスマホを取りだした。
だけど、佳加じゃなかった。
この世で1番、見たくない名前だった。
名前を見ながら絶句した私は──……
大毅からの『どこ?』というメッセージに、体が震えた。
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