第79話

神城兄弟は、やっぱり有名だと思う。


特に目立つのは、髪の色。

人工的に染められていないその色は、とても綺麗で。

それに加えて美形とくる。

本当に世間離れしたその2人は、遠目からみても、あ、いる⋯って分かるほどで。



たまに、明るい茶色の髪をした彼の方を見かける時がある。


彼が私に気づく前に私の方が先に気づくから、彼と鉢合わせしないよに、見つからないように、避ける私はルイの言うことを守っていた。





学校からの帰り道、「家にこない?」というルイの嬉しすぎるお誘い。


嬉し、すぎるのに。


ヒカルがいればどうしようと、心に不安が積もっていく。

もう、ヒカルがつけてきた〝アト〟は消えたけど⋯。

あんなやつ、も、二度と関わりたくない⋯。



「なんで迷うの?」



何も言わない私に、笑っている顔のまま口調を変えたルイは、手を握っているそれに力を込めた。


怒らせた?そう思って慌てた私は、「い、いきたい⋯⋯けど、」と、顔を下に向ける。



「けど?」



ピタリと、ルイの足が、止まった。



「ルイくんだけがいい⋯」


「どういう意味?」



ヒカルに、声を、聞かれてしまう⋯。



「ヒカルに、近寄るなって、言ったのは⋯ルイくんだよ」



私の言葉に、「そうだったね」と、やけに嬉しそうに言ったルイは、反対の手で私の頭を撫でてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る