第2話

中学時代、私は彼に告白した。


シンプルに、「好き」って。



下校時刻。彼は教室の窓から外を見ていた。掃除当番で遅くまで残っていた私が「帰らないの?」と、喋りかけたことがきっかけ。



彼は黒にしては薄い目を私に向けてくる。

背後にある夕日が、その彼の目とすごく似合っていた。




「帰るよ。もうすぐ卒業だなって、思ってた」



彼は静かに笑うと、「ばいばい、美空さん」とぺしゃんこの鞄を抱え直し窓とは反対の扉の方へと歩き出す。


背筋が綺麗な彼に、「待って」と呼び止める私は、「好き」と、口に出していた。



そんな彼は、再び、私の方へと振り向く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る