第28話

村井さんに音源を渡してから連絡が来るまでにそう時間はかからなかった。アルバムに入れる曲は12曲で、持ち曲のうちどれを入れるか伝えられる。



でも、村井さんから指示された曲は11曲で、当然私は首を傾げる。




「あの、アルバムに入れる曲は12曲ですよね。どうして11曲しかないんですか?」


『それについて今から話すんだけど、雪月花さんの曲はゆったりしたダウナーな曲と、アップテンポで激しめの曲の2パターンが主流でしょ?』


「そうですね。」




前はスローテンポの方が多かったけど、はなびが「もっとドラム叩きてぇ」って言ったのをきっかけに激しめの曲も作るようになった。おかげでライブでより暴れられるようになって楽しい。




『そこで、1曲バラードを入れてアルバムにギャップを出したいんだよね。』




電話の向こうで村井さんが言う。




「バラード、ですか。」


『そう。それも、切ない系のがこっちの希望かな。今までの雪月花とはちょっと違うタイプの曲をレコーディングまでに作ってほしい。』

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