第二楽章

第17話

──ライブ当日。ステージに立つのに緊張したことはない。あるのはどうしようもない高揚感と、暴れたい気持ちだけ。



期待と興奮で温度が上がるステージの横、客席からはギリ見えない舞台袖。ここで3人で円陣を組んでからステージに立つのが雪月花のルーティーン。



私、つきみ、はなびの順に思いを吐いて、最後に私が締める。




「初っ端からブチかまして行きましょう」


「今日もうちらが最強最高」


「全力でぶっ飛ばして行きましょう」


「暴れに行くよ──We are?」


「「雪月花」」




ちょっと語呂が悪いかなって毎回思うけど、それでいい。



綺麗な形の音楽を創りたいわけじゃないから。



不格好で不揃いで、だからこそ人間らしい音が私たちの音楽だから。かといって下手なものは創りたくない。出したいものを出し切るために狂ったように弾いて歌ってを繰り返して、そうしていつもここに立つ。



もう辞めようって何度思っても、ここから見る景色は絶景だ。

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