第8話

つきま、はなびと別れた私はちょっとうきうきした気持ちで帰り道を歩いていた。新しいものに変えるって何回経験してもわくわくするからね。




「ただいまー」




ピアニストの母さんは、公演がない時はピアノ教室の先生としてレッスンをしてるから家にいることがほとんど。




「おかえりなさい、ぴあの。今ね、晴都くん来てるの。懐かしいでしょう? 何年ぶりかしらね。5年だっけ?」


「はい。向こうに行ったのは小学5年生の時でしたから。」




はぁ? なんでコイツがうちにいんの? なんで何食わぬ顔で堂々と居座ってんの? 懐かしいわけあるか。




「ぴあの、覚えてる? 晴都くん。仲良かったでしょう。」




そんな瞬間1秒たりともなかったけどね。コイツは私に向かって「おれに勝てたら友だちになってやる」って言った奴だし。




「……覚えてない。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る