第84話
結は我を失っていた。
「美和子も覇月もいるではないか」
状況がわからない長。
わかったのは母親の美和子。
美和子は暴れている結を抱き締めた。
「結。あなたを誰もせめてない。あなたの味方よ」
結は安心したように眠る。
「長。結にとっての母親はまだ紗和子さんなんだよ…………お兄さんも俺ではなく、烏丸圭介という男だ」
「そうか、紗和子か。愚かだったが優しい子だった」
「お父さん。紗和子は愚かじゃありません。紗和子は好きな人と一緒になりたくて人間の道を選んだだけ。紗和子は結を守ってくれたんです」
「そうだな…………」
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