私に気付かないで…

第54話

「とにかく今日はもう遅い。今日は切り上げて明日にしよう」



「そうだね」




目の前には可愛い彼女と別れ一人で帰路する慶太くんの後ろ姿。



「あれが新井慶太か?」


「…うん」



慶太くんの後ろ姿。


眺めるの久しぶり。


あの頃はよく慶太くんの後ろ姿を見守って帰っていたな。



「そういえばさっき慶太くんを見つけた時、慶太くんに触れそうになったんだ」


「え!?」


「けど私は幽霊だから慶太くんに触れない。わかってたから手を引っ込めた。もちろん慶太くんには触ってないよ!?けど」


「けど?」

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