第35話

「飲もうかな………」



再び座り、田中くんが知らぬ間に追加のドリンクを注文していた。



「今はなんの仕事してるの?」


「広告関係……」


「へえ奇遇だな。俺もだよ」


「そうなんだ……」



緊張はするけど思っていたより、昔より話せてるかも。



「一ノ瀬さんと話せるのなんか嬉しいな」


「へ?」


「俺、卒業と同時に大阪に引っ越したからさ、また一ノ瀬さんと話せて嬉しい。ほんとは引っ越したく無かったから」



初めて田中くんの気持ちに触れられた気がする。


田中くんに近づけた気がした。

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