勝負
第53話
晃貴は、ずるい。
ずるいというより、本当に性格が悪い。
多分、頭の回転が速いんだと思う。
ずる賢い⋯とは、言い方が違うのかもしれないけど。
晃貴を驚かせようと思って歩いてこっちに向かってくるところを影で待っていたら、全然来なくて。
あれ?と思ってちらりと覗けば「わ!」と逆にすぐそばで立ち止まっていた晃貴に驚かされる。
「まだまだだなぁ、真希ちゃん」と、私を引き寄せてきて頬にキスをしてくる晃貴⋯。
「晃貴って、どうすれば驚くのかな?」
「俺に聞かれても。晃貴さんが驚くところとか、見た事ねぇけど。徹さんに聞けば?」
康二に相談すればそう言われ。
徹、そう言われてみればそうかもと思い。
ちょうどよく1人でバイクをさわっている徹がいたから、同じことを聞いてみた。
「それって、びっくりさせたいって事?」
手にはめている軍手が黒く汚れている徹。
「びっくりというか⋯いつも、からかってくるので、仕返しというか⋯」
「ああ、なるほど」
面白そうにクスクスと笑う徹は、「晃貴にそんなことできんの、市川ぐらいだよ」といってきて。
上の人間の晃貴。逆らう人はいないから。
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