第82話

あたしが何やっても、辰巳さんと彼女は別れないんだから·····。


というか別れても、辰巳さんはあたしに振り向いてくれない。こんなにも好きだ想っているのに。



「·····奈央君、ちょっと話したいことがあるの」



でも、やっぱり諦めきれなくて。



「·····え、俺に?」


「うん、今度時間がある時でもいいから。連絡先教えてくれない?」




きっと奈央君は、あたしと隼翔の関係をある程度知ってるはず。だから本来なら、断るかもしれない。


けど、お兄ちゃんの妹であるあたしに、連絡先を教えてと言われたら、断れないのを分かって聞いた。


ほんと、嫌な女はどっちって話·····。

超ブーメランじゃん私。




「ありがとう、じゃあまたね」


あたしは手をふり、その場を去った。



一緒にいて、これ以上に彼女のことを知りたくなかった。


もしかしたら思ってしまうかもしれないから。


お兄ちゃんと密葉ちゃんのように、‘お似合い’だって。


今は‘合ってない’と思っていても·····。

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