第80話

あたしだったら遊ばない。辰巳さんと付き合えたなら、一切遊ばないのに。辰巳さんだけを見るのに。



むかつく·····。こんな事を思っても仕方ないのに。それでも辰巳さんが選んだのは、美優って子なんだから。

あの子に嫉妬しても、意味無いって分かってるのに。




「こんにちは」



あたしは美優って子が、嫌な奴だと思いたかった。だからあたしは声をかけた。彼女のことを知って、本当に嫌な奴だったら、辰巳さんに伝えようと。

こんな、1面あるんだよって。

だからやめておいた方がいいよって。



··········陰口なんて、辰巳さんが1番嫌いそうな事なのに。




声をかけられたことに驚いたのか、2人があたしの方へと向く。彼女は誰?って顔をしたけど、奈央君の方は、あ·····という顔をして。



「見かけたから、声かけちゃった。買い物?」



あたしが笑うと、奈央君は「うん」と、返事をしてくれて。



「奈央の友達?」


辰巳さんの彼女が、あたしを見て言う。


化粧は薄くしてるみたいだけど、バッチリって感じでない彼女。

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