第94話

真希ちゃんと別れ、私は真っ直ぐ自分の家へと帰った。誰かと遊ぶとか、溜まり場へ行くとか、裕太の家に行くとか、これ以上フラフラとするのが嫌だったから。





その日の夜、風呂上がりにお茶を飲みながらテレビを見ていると、スマホの着信音が流れた。


裕太だろうと思った。毎日、「おやすみ」の電話をしてきてくれるから。


けど、画面に映し出されているのは、知らない登録してない番号で。


非通知、ではない。

ということは、裕太の元カノではない。

あれっきり、裕太の元カノとは関わりないから。




「もしもし⋯」



指をスライドさせて、耳に当てた。



『俺だけど』



その声を聞いた時、スマホを落としそうになった。低くて、不機嫌な声⋯。

何度か耳にした事のある声⋯。



「⋯⋯え?⋯なんで⋯」



なんで私のスマホに電話がかかってくるの?



『なんでって⋯、お前が真希に言ったんだろ?』



教えて欲しいとは言ったけど、まさかかかってくるとは思わなくて。

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