第16話

「俺⋯、浮気されたんだよ」


そう言って笑う裕太。



「最近別れた人?」


「そう。つーか、その女だけじゃない。前も、前の女も浮気とか当たり前だった」


「⋯」


「俺、優しすぎるんだって」


「⋯」


「自分でも自覚あった。なんでもいいよってタイプ。浮気しても全然気にならなくてさあ」



一緒に寝転びながら、私を見つめてくる。



「元々、そんな好きじゃなかったってのもあるけど」


「⋯」


「でもやっぱ、腹立つんだよな、他の男に取られたって思ったら。浮気されて平気なくせにな」


「⋯」



裕太は私に手を伸ばし、私の茶色の髪にふれた。



「そんで、いい機会だし、適当に女見つけて、俺も遊んでやろうと思った」


「⋯それが私?」


「そう」



否定しない裕太は、髪にふれた手で、私の頬を包む。

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