第79話

部屋に戻ってきた薫の手には二つのグラスと、二リットルのペットボトルが持たれていた。


「コーラしか無かった。飲める?」


「あ、うん。ありがとう」



ドスっと薫は私の斜め横に腰掛けると、机の上にグラスを置き、そこにコーラを入れていく。



「寝なくていいの?」


「昼から寝るから」


「そうなの?」


10時に起きないといけなかったのに?



「土日の昼は混むから手伝ってんだよ」


「何を?」


「弁当屋」


なるほど···。

だから弁当屋が混むピークが過ぎれば家に帰り、家で寝るということ。

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