トラウマ

第54話

自動販売機に行くまでも、薫の友達らしい人たちに「女出来たの?」と2回聞かれていた。薫は「違うから」と笑っていた。

こうして一緒に歩いているだけで彼女に見えるのかと不思議に思う。



「薫〜、お前どこ行ってたんだよ」


自動販売機でお茶を買っている時、次は茶髪の男に話しかけられた。フワフワとしたパーマがかけられており、男らしい薫とは違い、彼は中世的な綺麗な顔をしていた。艶がある···とでもいうのだろうか。



「聖が探してたけど?」



────···ガタンと、薫がボタンを押した直後、お茶のペットボトルが落ちてくる。



「ああ、悪い」



そのペットボトルを私に渡してきた薫は、やって来たフワフワパーマをした今どきの男に返事をする。



···あ、お金。

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