第24話

「これ、ありがとな」


そういった薫の手の中には、私が買ったペットボトルがあった。どうやら聖が渡してくれたらしい。

聖は昨日とは違い今日はいなくて、薫だけだった。


まさか、わざわざお礼を言いにここへ来た?

私が昨日みたいにバス停にいると思って?



「ううん、昨日のお礼だから」


「バス待ってんの?」


「うん」



薫はペットボトルをかごの中に入れ、そのままスムーズに左手のこうをあげて、手首の方を見た。

どう見てもそのポーズは腕時計を見ていて。


少しだけ、眉間にシワが寄った。



「悪ぃな、今日は送れねぇ」



スっと目線をこちらに戻した薫は、そんな事を言ってくる。

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