第93話

ヒカルは海吏が抱っこしていて。



「⋯だれ?」


ルイはそう言ったあと、不安そうに私を見上げる。




「俺はね、ルイくんの先生」



そんなルイに笑顔で話しかけるのは、同じ視線にしゃがみこんでいる世那。


そんな世那に恐る恐るルイは顔をむけた。




「⋯せんせ?」


「そう、‘ルイくんの’先生」


「ぼくの?」


「そうだよ、よろしくね」


「⋯うん」




私の友人ではなく。

ルイの先生と言った世那は、「先生、ルイくんと遊びたいな。ブランコ好き?」と、モジモジとしているルイに聞く。



「⋯うん」


「ぼくもすき!」



海吏の腕の中にいるヒカルが、騒ぐ。



「じゃあ、ヒカルくんと一緒に行かない? 」


「⋯ままは?」


「ままも来るよ。行こう?」




ルイはちらりと私を見た。ちょっと不安そうな顔も、すごく可愛いくて。


私が「いこっか」と笑顔で言うと、ルイは安心したのか世那に向かって「いく」と言った。

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