「あいつは？」

「あいつ？」

「血飲んだら狂うやつ。あいつは何も理性とか、無いんやろ？」

血を見た瞬間、狂ってしまう雅⋯。

でも、雅は⋯。

「雅さんはもう理性あるよ？そういう施設で治療したって言ってた」

「施設？」

「うん、1年前に会った時、教えてくれた」

「あん時な⋯その施設で性癖治らん？いや⋯マシになるだけか、根本的なもんは無くならんねんな」

根本的なもの。

性癖は、クセだから。

その人の性格だから。

「魁輝は後悔してた⋯⋯。なんであんなことって⋯。あの建物にいれば我慢しなくてすむから⋯。歯止めがきかなくなるみたいで⋯」

「人を殺したのは変わらんやろ」

海吏が冷たく言う。

「⋯うん、そうだね⋯ごめん」

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