第9話

ルイの手には、突然私が抱き上げられるまで使っていたボールペンがあった。



それを、私に刺そうとした。




「だ、だってだって⋯」


「ルイ」


「ままの、ここ⋯なかったら⋯」


「あかん」



私の、両脇。

肩の部分。




「ぱぱ⋯だっこ、できない⋯」


「もうままの事抱っこせぇへんから。ままの腕はとったあかん。絶対、あかん」



強く言い聞かせる海吏。



「で、でも、ぼく」


「あかん」


「うわぁあああんっ、ぼくのっ、ぱぱっ、ぼくの!!!うわぁああん!!!」


「ルイ⋯」





血を濃く受け継いでいるルイ⋯。



子供ということもあって、理性がきかないのかもしれない。




ルイはしなかった。


言葉にするだけだった。



初めて、私に、傷をつけようとした。


その事実に、私はポロポロと、涙を流した。

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