2章

もう元には戻せない

第58話

翌朝、アラームで目を覚ます。



「ん…………」



朝陽が眩しい。



ベッドにはもう賢人の姿はなかった。


布団の温もりが冷たい。


だいぶ前に出社したのだろう。


私は午後出勤だから正直助かった。


通常通りの出勤だったら寝坊していたから。



スタスタ歩き帰る支度をする。



テーブルにはラップがかけられた食事が用意されていた。



「これ……」



もしかして賢人が?



食事の隣には置き手紙が置かれていた。



『ちゃんと食べてから帰れよ。遠慮しないで風呂使っていいから。俺は会社行ってきまーす。またな 賢人』



「賢人………」



何事も無かったかのように明るい調子の賢人。



「馬鹿賢人……」

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