第199話

いつもの公園、待ち合わせに時刻より30分も前に着いた俺。






マジで、やべぇな?






ベンチに座り煙草を吹かしながら自嘲的な笑みが漏れた。









昼間の公園は、小さな子供を連れた親子連れが楽しそうに遊んでいた。






その中で異色な俺は、やっぱり警戒されていて・・・。






しかも、今か今かと公園の入り口をキョロキョロとみるもんだから、不審さを増してた。






自分でも分かってるけどやめれねぇ。







どんなけ余裕ねぇんだよ。







すでに足元には数本の吸い殻。






点けては消してを繰り返した証拠。








「はぁ・・・どうしてこんなに落ち着かねぇんだよ。」





漏れ出た言葉は、公園に吹くそよ風に掻き消される。






昨日の夜はほとんど眠れてねぇせいか、目の下に少しクマが出来てた。





女なら化粧で誤魔化せる所だろうが、今の俺には誤魔化すすべはねぇ。






目の下のクマはヤンキーな俺の迫力を増す材料になってやがる。







一世一代の告白の日に、なんてこった。





気付いた時には後の祭りだし。







決めたからには、今日は全てを吐き出す。







珊瑚をこの手で抱きしめてぇから。







あいつも心も体も全て俺のモノにしてぇんだ。







珊瑚が来たら伝える。





俺のここに詰まってるもん全部伝える。



胸元に当てた左手。






初めて惚れて女に、初めて告白する。





女ったらしの俺が、こんなにドキドキしてる。





胸元の手は微かに震えてて、らしくねぇと自分でも思った。








女なんて数えきれねぇ程抱いてきた。




偽りの仮面をかぶって、甘い言葉だって吐いてきた。







そんな俺が、『好き』たった二文字を言うだけに、こんなに緊張して焦ってる。






馬鹿げてるって言われるかもしれねぇけど。







珊瑚と向き合う事が怖いんだ。






あいつに拒絶される事が怖い。




あいつに呆れられるのが怖い。






告白をするって決めたくせに、俺の中ではまだ戸惑ってるもう一人の俺が居る。

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