第189話

自棄に積極的じゃねぇか?




こんなに初心そうに見えて、実は遊んでたりすんのか?








「マジか・・。」



小さな独り言が漏れる。




しかも、ブラブラってなんだよ。




マジ、手なんか握られるとか思ってなかったから、動揺しちまったじゃねぇか。





珊瑚が触れてる手から体温が上昇していく。





今まで女にどこを触れられてもこんな感覚感じた事ねぇのに。







今の俺、ぜってぇ顔が赤い。





らしくねぇ・・・小さく溜息をもらす。








「ん・・・どうかした?」




珊瑚は不思議そうに振り返る。






「・・・・・。」




無言のまま繋がれた手に視線を向ければ。






「・・・あっ!ごめん。つい癖で。」



珊瑚は頬を赤らめて繋いでいた手をぱっと離す。




恥ずかしそうに俯いた珊瑚。







無意識でやってたのかよ・・・性質悪い。





癖ってなんだ?いつも男と手を繋いでたりすんのかよ?






胸にモヤモヤとしたものが込み上げる。





珊瑚の柔らかい手に触れた事のある男がいるとか、マジうぜぇ。








「お前、いっつも自分から手を繋いだりすんの?」



苛立ちがそのまま言葉になった。




冷たく刺さる様な声に、珊瑚は慌てて顔を上げる。






「うん・・・だって、すぐにどっか行っちゃうもん。」



「・・・・・。」



はぁ・・・イラつく。





いつも手を繋ぐ男が、どうして俺じゃねぇんだよ。




良く考えれば、珊瑚がフリーだとか聞いてねぇ。




この可愛さで男が居ねぇはずねぇよな?





見た事もねぇ男に嫉妬の炎が芽生える。






拳をグッと握りしめる。




相手がどんな奴だろうと、珊瑚を奪ってやる。






悶々とそんな事を考えてた俺。







「だって、琥珀すぐに走ってちゃうから。一緒に歩くときは手を繋がないとね。」




珊瑚が眉を下げて笑う。






「はっ?琥珀?」




今の俺はぜってぇ間抜けな顔してる。




それは自信ある。





「うん、琥珀だよ。あの子、意外にも足が速くってもう私じゃ追いかけられないの。だからいつも手を繋ぐから癖になっちゃってて。ごめんね?嫌だったよね?」




そんな申し訳なさそうに言われても困るんだけど。

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