運命の出会い

柊馬の記憶

第166話

「珊瑚、見えてるか?お前の可愛い妹の晴れ姿だ。」




小さな教会を見下ろせる丘の上に男が1人。





その手に握られているのは白いユリの花束。





少し遠目から見る白いウェディング姿の花嫁を見つめる。





その顔には大きな傷があり、切なそうに目を細めていた。





スーツ姿で正装しているにも関わらず、教会に近づこうともしない男。





その手には送られてきた招待状が握られている。






それは見つめている新郎新婦から送られてきた物。






「俺は、祝いの席には似合わない。ここから、珊瑚と一緒に見つめるだけで十分だよな?」




空を見上げたその顔に昔の様な冷たさはない。







「柊馬」




男の周りを風が舞う。






「珊瑚、俺は今もお前だけを愛してる。」




そう言い残し、柊馬はその場を後にした。












向かうのは愛しい女の眠る場所。





その手に持った花束を、ウェディングドレス代わりに彼女に送るために・・・。










乗り込んだ中古の日本車。






手に持った花束を大事そうに助手席に横たえると、アクセルとゆっくりと踏み込んだ。

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