第139話

「蘭丸、要、あなた達には辛い思いをさせてしまうわね。」




2人をギュッと抱き寄せてくれた叔母さんの温もりは今も忘れない。






「叔母さん。」



「叔母さん・・・。」




俺と要は叔母の温もりに縋り付いた。






父親を憎み、現実を憎み、自分達の無力さを憎んだ。












母親は退院の日を迎えても、俺達をその瞳に写してくれることは無かった。







ただ口にするのは父親の名前だけ。








それなのに、あいつは家に寄りつかなくなった。





母親が夜な夜な部屋を出歩いては、父親を探す。






見かねた俺は、一度だけ父親の会社を訪れた。




息子の来訪を、アポなしじゃ通せないとか言った受付に、




「俺は次期社長だ!そんな態度許されるのか?」



なんて脅しをかけた。






馬鹿な大人は子供だましのはったりに騙されてくれる。






それでも部屋の前で入室を拒もうとした警備員が居たが制止を振り切って、社長室のドアを開けた。




そこで見たのは社長室に秘書を連れ込んで事情に更ける馬鹿げた父親の姿。







本当にこいつはどうしようもない奴だと悟った。






同じ血が流れてると思うだけで反吐が出る。







父親の日膝の上に乗って腰を振る女を視界に捉える事なく、父親に話しかける。






「外で何をしてようと構わないけど。夫としての役目ぐらい果たせよ。毎日返って来いなんて言わない。俺はお前の顔なんて見たくもないしね?」





「・・・・・。」



「しゃ・・・社長。」



乱れた服装のまま焦った顔をする秘書。




慌てて父親の膝から退くと、乱れた服装を直し始める。




俺はそんな女を居ない存在の様に言葉を続ける。






「お母さんと結婚した責任は取ってよ。あの人はもうあんたの名前しか呼ばない。だから、あんたはあの人を世話する義務がある。週3日だ、3日は会いに帰ってね?」



俺は指を三本立てる。





父親は俺の高圧的な態度に眉を寄せながら、膝まで下がっていたズボンを引き上げた。






「あんたに拒否権はない。」



「な・・・なんだと?」




「拒否すれば、全てをマスコミにぶちまけるよ?大手の総合商社の社長の生々しいスキャンダル。マスコミは喜んで飛びついてくれるよ。」



俺はニッコリ笑う。

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