第127話
琥珀ちゃんが作ってくれてこの時間、大切にしないとね?
俺は口角を上げる。
話してみないと、相手の真意なんて測れないね?
このチャンスを作ってくれてありがと、琥珀ちゃん。
「本気?本気で、あの子を大切にするつもりがある?昔に戻ったりする事は無いのかな?」
妹が佐野を好きで、佐野が妹を好きなら、俺の出る幕はない。
それでも、聞かずにはいられない。
大切に守ってきた妹だから。
「はい、もちろんです。もう、昔の俺の戻る事なんてないし。彼女を大切にしていきたいんです。」
ああ・・・ここまで言われたら、もう認めるしかないのかな?
複雑な思いが心の中でうごめくけど。
シスコンもそろそろ卒業かな?
なんて思う俺も居る。
翡翠さんも、六織に琥珀ちゃんを任せると決めた時、こんな思いだったんだろうか?
六織は佐野より状況は悪かったからね。
不良だったし、暴走族の総長だったし。
その上、琥珀ちゃんを掻っ攫った経緯があったからねぇ。
そう考えると、うちの場合はまだマシなのかもしれないなぁ。
「・・・あの子を泣かせたら、容赦しないからね?」
似非貴公子の笑顔を佐野に向ける。
もちろん笑って無い瞳と、少し出した殺気はそのままで。
「は・・・はい。」
緊張気味の佐野の声が少し裏返る。
佐野の額に汗が滲んだのを見て、ふっと殺気を解く。
こいつの本気を信じてみよう。
「あの子は本当に何も知らない箱入り娘だから、あの子のペースに合わせた付き合いをしてもらえるかな?」
兄としてのお願い。
「はい、付き合えたら、もちろんそうするつもりです。」
佐野が少し悲しげに瞳を揺らす。
そうか、妹はまだ返事を保留にしていたんだっけな?
ま、保留にしてる原因は俺だろうけどね?
あの子の背中を押す役目は俺にあるね。
「返事を渋ってる原因は俺だろうから、あの子と話してみるよ。悪いけど、それまで待ってやってもらえないかな?」
「もちろんです。いくらで待ちます。ありがとうございます。」
佐野は立ち上がると、45度に腰を曲げて頭を下げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます