第49話

「あら、お呼びしたらダメでしたか?」



不思議そうに頭を傾けたマリ。




「・・・・・。」





うん・・・ダメでした。





さすがに、そこまで覚悟出来てませんって!






六織をそっと盗み見たら、顔が強張ってた。







ここに来た時より、強張ってた。








お父さん・・・猪口からお酒溢れてるから、どんなけ注ぐつもりなのよ!




動揺しすぎて、とっくりを持つ手が震えてるし。









元就の放心した顔と、六織の緊迫した表情に、和やかな空気が一気に緊迫する。









「昨日、たまたま電話がかかってきましてね。琥珀ちゃんが明日来るとお伝えしたら、お仕事の都合が付けば来るっておっしゃってました。」





お願い、仕事の都合付かないで・・・・。







マリ以外の全員が同じことを思ったはずだ。








出来れば翡翠には今日は会いたくない。














思いも虚しく、【ピンポーン】と来訪者を告げるチャイム。








琥珀と六織と元就の顔が、一気に青ざめたのは言うまでもない。









「はいは~い。今いきま~す。」





明るい声でそう言ったマリが、少し恨めしく思えた。

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