第11話

明日⋯

学校行くの、嫌だな。


そう思いながら、グラスに水を入れていく。


カラン―――と、氷が動く。



ぼんやりとしながら二人分のグラスを持ちテーブル席へと戻ろうとした時、ぼんやりとしていた私は、背後にいるその人に気づかなかった。




体がぶつかったというより、両手に持っていたグラスが当たった感覚で。



あ、と、呟いた時には、その人の持っていたグラスが、私のグラスに当たっていた。


パシャン―――と、少量の水が、私のもうグラスから、その人のグラス、そして、手首までもが水で濡れてしまい。




「す、すみ、ませ⋯」



そう言った私の声は、震えていた。


なぜなら分かるから。


顔を見なくても。



グラスを持っている手。


それがどう見ても、男の人の手だったから。

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