第54話

「アイツは…っ

替えがきくもんなんかじゃねぇっ。

ほかの女なんていらねぇんだよっ」




頬に冷たいものが流れるのがわかった。




俺の顔を見た杉浦のが目を見開く。




「東京には戻る。失せろ。てめぇの顔なんて見たくねぇ」




杉浦の胸ぐらを掴んでいた手を乱暴に払いそう言い捨てた。




「…申し訳ありませんでした」




部屋から出る瞬間、謝罪の言葉が聞こえてきたが、視線すら向けなかった。




全てがどうでもいいと思った。

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