第45話

『もう大学はいいんだろう?そろそろこっちに帰って来たらどうだ?』




電話の向こうから聞こえてくる親父の声に、自然と携帯を握る手に力が入った。




親父がそう言うのは別におかしなことじゃない。




俺の人生は生まれた瞬間から決まっていたし、それを不満に思ったこともない。




大学を卒業したらそっちの世界に入ることは、俺が一番わかっていた。




けど




普通の幸せを知ってしまった俺は、欲張りになっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る