第13話

年が明けて寒さが和らぎ冬から春に変わる頃、東京から暁人が会いにやってきた。




「…ほんと、何にもないとこだな?」




マンションのベランダで夕暮れに赤く染まった街を見下ろしながら暁人が言った。




「…東京に比べたらな……」




ここがすごく田舎なわけじゃない。

でも…一瞬目を奪われるような景色には、東京では見られない。




そう思いながら、夕日に染まる海や街を眺めた。




東京とは似ても似つかない街。




見える景色も、空気の匂いも、住んでいる人でさえ。

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