第35話

胸にぽっかりと穴が開いたように感じながらも、私は泰三に微笑んだ。



「そうね。もう、28になるのだものね。今度こそ幸せになりたいわ」



たとえ、泰三への気持ちが一生色褪せないとしても。



「……付き合ってる男がいるのか?」



一瞬、泰三の瞳が燃え上がったような気がした。



「ええ」



「……結婚を考えてるのか?」



低く問いかけられて頷く。その瞬間、世界が色を失ったように思えた。

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