第6話

トイレに入り手洗いの鏡に姿を写す。



「やられた…」



冷たいとは思ってたけど




おろしたばかりの白のシャツの右肩。

繊細なレースが気に入ってたのに、今はカシスなのかなんなのか。赤い飛沫が飛び散っていた。




「あーあ…」



飲み会なんて来なきゃよかったかな。




でも、ちょっと飲みたい気分だったのはたしか。




ポロンと携帯がメールを知らせた。




《今夜、空いてる?》



少し前に知り合った医療関係の仕事の彼だ。




「今空いたーっと」



返事をしながら、彼の名前って何だっけ。



なんて思っている私はさっきの男の人のこと何にも言えないなって思った。




唇に赤い口紅を塗る。



ボブのグレージュ。

白のシャツに藍色のタイトスカート。

下品にならない程度のヒール。



顔は整ってる方だと思う。



肩の染みは…ま、いいか…。

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