第80話

不意打ちのように頬をつねられた祐樹は叫んだ。



本気で力を入れているから相当痛いと思う。けど、やめるつもりはない。



あたしは笑顔のまま、痛がる祐樹の顔をじっくりと見つめる。



「マジで痛ぇ!とりあえず離せ!」



「……」



「イズミっ」



「……」



「悪かった!俺が!謝る、謝るからっ」



必死な声で言う祐樹にあたしは目を細める。



「謝るってことは、なにかやましいことでもあるの?」



「ない!やましいことなんて。頼むからこの手を離してくれ」

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