第Ⅰ章 第6話

「分かった。お前がそう言うなら辞めるし、そこはギルドマスターであるお前の命に従う」

アルフレッドはそう答えた。「分かった」

私はそう答えた。



暫くすると「お・・・おはようございます、アルバート様」

キッチンから姿を見せたのは、アストレアの最後のメンバーで訳アリの子・ヴァイオレットだった。


ヴァイオレットは常に顔の左側を髪で隠している。


私やアルフレッド、フレデリックだけは彼女の正体を知っている。彼女も私と似た境遇で育った子だ。


「おはよう、ヴァイオレット。ごめんね、朝から忙しかったら手伝いが出来なかった」

私はヴァイオレットにそう言い、謝った。


「い・・いえ・・・。気になさらないで・・・下さい。アルバート様が忙しいの・・・知ってます・・・。それにフレデリック様達が・・・手伝ってくれました・・・ので」

ヴァイオレットはそう答えた。


「ヴァイオレット様はアルバート様には優し過ぎますよ」

そう言ったのはヴァイオレットが使役してる精霊・フロスト。


ヴァイオレットはこのストレア王国で唯一の精霊使いだ。


「そんな事は無いですよ、フロスト様」

ヴァイオレットはそう答えた。


「そっか・・・。さぁ・・・朝食にしようか」

私はそう言った。「あ・・・は・・・運んで来ます・・・」

ヴァイオレットはそう言った。


「いや、私も手伝うよ」

私はそう答えた。「あ・・・ありがとう・・・ございます」

ヴァイオレットはそう答えた。


私はヴァイオレットとフロストと共に城のキッチンに向かった。


「アルバート様?如何して此方に?」

キッチンに入ると私にそう聞いたのはフレデリックだった。


「さっき、ヴァイオレットが私の元に来たからな。手伝いに来ただけだよ」

私はそう答えた。「そうでしたか。でも、大丈夫でしたのに・・・」

フレデリックはそう答えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る