第75話
頭を振ったあたしに、壱星は声に出さずに笑った。
「そっ。それでツバサを見つけて、弘弥に紹介を頼んだわけ」
種明かしするように小声で囁かれ、あたしは耳を隠したくなった。
だって近すぎだし!
耳に息がかかってる!
「壱星っ」
パニックになりかけながら叫ぶように名前を呼ぶと、
壱星は喉で笑いながらも手を伸ばしてきて、あたしの唇を軽くなぞった。
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