第55話

「ツバサの父親って、そんなに怖いのか?」



低い声で名前を呼ばれて、胸がドキドキした。



「そんなことないと思うけど……」



「けどツバサって、大事にされてそうだよな。温室育ちっつうの?」



そう笑った壱星に、著しく勘違いされていることに気がついたが、ここは何も言わないでいよう。



確かにあたしは甘やかされて育ったし、お嬢と言う言葉も当てはまるのかもしれない。

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