第37話

「そんなぁ……」



目をウルウルさせて、今度は泣き落としに作戦を変えた諒子に、あたしは意識を本に戻した。



「ツバサぁ」



と、その時、あたしに救いの天使が現れた。



「諦めな、諒子。ツバサは今日はあたしとお出掛けすんのよ」



晴香サマ。



見事に諒子を蹴散らして、正面の椅子に晴香が腰を下ろすのを感じた。



チラリと顔を上げて見れば、まったく……と肩を竦める晴香が見える。

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