第88話
「あたしはシン君のものじゃない。好きなのは祐樹さんだけ」
言った瞬間、顔を怒りで赤くさせたシン君が腕を振り上げ、あたしに殴りかかろうとした。
それでも、目を逸らさずに真っ直ぐ見つめる。
怯えないあたしに、一瞬怯んだ顔をしたが、そのまま腕を振り下ろす。
もう少しで当たるってところで、吹っ飛んだのはシン君の方だった。
「…殴らせねぇよ、テメェ、マジでクソだな」
言いながら吹っ飛んだシン君にゆっくり近寄っていく。
近づいて来る祐樹さんに怯えた表情を見せながらも立ち上がり、今度は祐樹さんに向かって腕を振り上げた。
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