第36話

「学生?社会人?終電までは時間あるし、ちょっとだけでいいからさ!もちろん俺らが奢るから、少し飲みいこうよ!」



わわー!ずっとついてくるよー。

いてててて。ヒールが高い靴で来なきゃよかったなー。


そんな事を考えつつ、たまに振り返り、愛想笑いをしつつも私達は半分無視して歩き続けた。



この手の人にしては割としつこく、5分ほど歩いてもまだ話しかけながらついてきていた。


駅までは明るい歩道があり、人もたくさん歩いている。

こんな中で何かされる訳もないだろうし、もう最後まで無視しよう。

璃咲と目を合わせ、『このまま行こう』というジェスチャーだけ送った。


無駄に多く吸い込むことになった冷たい空気が、喉の奥をキリキリと刺す。

駅まではあと50mほど。

先には交番もあり、それを見てほっとひと安心した時だった。



「つかよー、無視すんなよ!マジでうぜーなー!もういいよ、ブス!!」


は?はぁーーー!?

その一言には私もさすがに腹が立ち、とりあえず睨んでやろうかと思ったその瞬間だった。

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